アマプラ視聴録

エンタメ系まとめサイトに記事を納品している30代のフリーライターが『AmazonPrime』で視聴できる映画・アニメ・海外ドラマなどのあらすじを3行でまとめるブログ。twitter:@murancianotes

ジブリアニメ『風立ちぬ』の3行あらすじと感想!庵野秀明の演技力は問題ではない!?

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ジブリアニメ『風立ちぬ』を視聴した記録です。何年か前にもレンタルして視聴したのですが、その時は途中で視聴を止めてしまいました。当時は、主人公の声優・庵野秀明の演技がかなり気になってしまい30分ぐらいで挫折しました。今回はきちんと最後まで観た結果、かなり面白いと感じるましたよ!

 

風立ちぬ』の3行あらすじ

  1. 飛行機を作る
  2. 飛行機を作る
  3. 飛行機を作る

 

風立ちぬ』がオススメの人

  • 全ての社会人
  • 自分のやりたいことがわかるけど進路に悩んでいる若人

 

風立ちぬ』がオススメではない人

  • 自分のやりたいことがわからない人
  • 何も考えずにジブリアニメを楽しみたい人

 

風立ちぬ』の感想

人生観

3行あらすじが適当過ぎるように見えるかもしれませんが、『風立ちぬ』という作品は宮崎駿の人生観を現した作品だと感じられました。自分の心を動かすものに真摯に向き合う、それが本当の意味で生きることなんだと言われている気がしました。

 

主人公の堀越二郎は子供の頃から飛行機が大好きで、夢や妄想の中でも飛行機の事ばかり考えています。成長してからも変人扱いされますが、人を気遣う礼儀や優しさも兼ね備えた人物です。だからこそヒロインの里見菜穂子も惹かれました。

 

堀越二郎は失敗を重ねようが、愛する菜穂子が身体を崩そうが仕事に打ち込みます。それは、単に「仕事人間」や「ワーカホリック」と言われるものとは違うように見えました。堀越二郎という人間は私生活への不満から仕事に逃げているわけではなく、承認欲求を満たすために仕事に向かっているわけではないからです。ひたすら純粋に自分が好きな飛行機に対して真摯に向き合いました。

 

こうした堀越二郎の生きざまはなんとも潔い、清らかな志に感じられます。10代の頃から自分のやりたいことがわからずに、あっという間に30代になってしまった僕にとっては羨望の眼差しを向ける気持ちになります。

 

堀越二郎宮崎駿にとって理想の生き方ではないかと僕は感じました。『風立ちぬ』の考察では「堀越二郎宮崎駿の投影である」といった論調がありますが、「私は堀越二郎と同じように潔くアニメを作っている!」なんて映画はちょっとかっこ悪いから、宮崎駿は自身を投影しつつも理想像へと昇華したキャラクターとして堀越二郎を描いたのではないでしょうか。

 

声優・庵野秀明

そこで問題になってくるのは堀越二郎の声優を務めた庵野秀明です。庵野秀明宮崎駿と師弟関係にあることは他のサイトでも書かれているのでご存知でない方は調べてみてください。

 

僕も『風立ちぬ』を初めて観た時は、庵野秀明の声が気になって仕方がありませんでした。映画の内容にも大して興味を持っておらず、「宮崎駿の監督作品だから」という理由で映画を見ました。そして冒頭の展開ですぐ飽きます。ちなみに2回目となる今回もオープニングからしばらくの間は「つまらない」と感じました(笑)

 

ただし、2回目となる今回は庵野秀明が声優を務めた意味について考えながら観ました。そして、ラストシーンでは感動し、庵野秀明で良いと思いました。唯一無二とは思いませんが、『風立ちぬ』という作品の性質上、庵野秀明のような宮崎駿を理解できる、凡人ではない人物が演じた意味を感じました。

 

正直、庵野秀明の演技力は全く問題ないです。後半での菜穂子のやり取りのシーンでは堀越二郎の苦しみが充分伝わってきました。過剰な演技は僕は必要ないと感じました。

 

順番に説明していくと、まず、堀越二郎というキャラクターにはモデルとなった実在の人物が存在します。しかし、名前や功績を除いた部分はフィクションであるため、『風立ちぬ』は伝記映画というわけではありません。アニメの堀越二郎は、現実と虚構の間にいるキャラクターとして設計されています。

 

そして、声優の役割ですが、アニメの場合は「キャラクターに命を吹き込む」というように、虚構の存在にリアリティを持たせるというのが1つの重要なポイントです。ただし、記号化されたキャラクターをより記号として強調する役割も持っているのが声優です。ジブリアニメの場合は、記号化されたアニメキャラクターにリアリティを持たせるために、敢えて声優の素人を起用してバランスを取ろうとしている節がありました。

 

そうした、ジブリ声優の起用方法を前提に堀越二郎を考えると、堀越二郎は実在の人物の半生を与えられてた虚構のキャラクターです。そして、宮崎駿は、自身を含めたクリエイター、社会人といった集合のメタファーとしての役割を堀越二郎に与えています。

 

正直、アニメの堀越二郎って怒らないし、だらしないところを見せないので立派過ぎるのです。『風の谷のナウシカ』のナウシカが理想化された女性像だったように、堀越二郎は理想化された仕事人です。

 

そこでカウンターバランスとして声優素人である庵野秀明が起用されたのは、妙に腑に落ちます。『となりのトトロ』でもコピーライターの糸井重里が起用されたことがありました。糸井重里も声優素人でしたが、劇中のキャラクターとは物書きを仕事にしているという共通点がありました。そうした共通点を『風立ちぬ』でも宮崎駿庵野秀明の中に見出していたのではないでしょうか。

 

堀越二郎は飛行機を作り、庵野秀明は映画を作っています。作るものは違えど、両者のクリエイターとしての熱心さの中に宮崎駿は共通するものを感じ取っていたのではないかと僕は考えました。

 

そう考えると、庵野秀明の演技というのは聞き心地の良い物ではありませんが、過剰な演技をしない素朴さの中にはリアリティのある感情がにじみ出ていたのだと感じられます。菜穂子のことは心から心配し、仕事に対してはどこまでも真摯であったという説得力が生まれているのではないかと、僕は感じるのです。