アマプラ視聴録

エンタメ系まとめサイトに記事を納品している30代のフリーライターが『AmazonPrime』で視聴できる映画・アニメ・海外ドラマなどのあらすじを3行でまとめるブログ。twitter:@murancianotes

映画『そして父になる』の3行あらすじと感想!感動の中に気まずさを覚える映画?

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Amazonプライム・ビデオで『そして父になる』を視聴した記録を残します。『そして父になる』は是枝裕和が監督を務め、福山雅治が主演を務めた日本の映画です。日本でも興行的には成功しましたが、ヒットのきっかけになったのは「カンヌ映画祭で好評」という報道がされたからでした。海外でも評価された『そして父になる』を僕なりに考えてみます。

 

目次

 

 

そして父になる』の3行あらすじ

  1. 6年育てた息子は実の子と取り違えられた子であることが判明する
  2. 本物の子供と交換する
  3. 血の繋がりを超えた親子の愛情に気付く

 

そして父になる』がオススメの人

  • 未視聴の人

 

そして父になる』がオススメでない人

  • 「新生児取り違え」を深く掘り下げた作品を期待する人

 

そして父になる』の感想

とても見やすい映画だが……

そして父になる』は、敷居が高そうだと感じられたわりに、すんなり映画を楽しむことができました。僕は子供はいないんですけど、「もし自分が主人公と同じ立場だったらどうするかな?」っていうことを考えます。この映画を見た人は誰もがそう考えるでしょう。能動的な思考でいられるので、最後まで飽きることがないです。多くの人から好評なのも頷けます。

 

ただし、「新生児取り違え」を中心に据えた作品かと問うと、「それは違う」と言えます。「取り違え」について軽く調べると映画で描かれない過酷な人生を強いられた方がいるようです。上記にあげた見やすさ(わかりやすい感動)がなんだか後ろめたいものに感じられました。

 

新生児取り違えと親としての接し方

そして父になる』は「取り違え」を題材にしていますが、物語の主題は「父親としての在り方」です。『そして父になる』には福山雅治演じる野々宮良多と、リリー・フランキー演じる斉木雄大というふたりの対称的な父親が出てきます。しかし、「取り違え」に対して向き合う苦難が詳しく描かれているのは良多だけです。雄大は良多の影、反対の要素を集めたキャラクターであり、良多よりも内面が描かれていない記号的な存在です。

 

雄大の記号化に一躍買っているのが妻・ゆかりを演じた真木よう子の存在です。真木よう子には「ミスキャスト」「田舎臭さがない」といった感想が多く寄せられています。しかし恐らく、真木よう子は「田舎の妻」のリアリティを追求して起用されたわけではありません。雄大に良いイメージを付けるための女優と考えると腑に落ちます。男女問わず、「美人だ」「セクシーだ」と感じる真木よう子です。その真木よう子演じるゆかりが雄大を選んで結婚しています。「雄大にはそれだけの魅力があるはずだ」というイメージが、映画を見た人にはあるはずです。しかし、雄大が「取り違え」を通じて何が変わったのかは映画を見てもわかりません。

 

良多とその他の登場人物の描かれ方を比べても、そして父になる』は「群像劇」ではなく、「良多の成長の物語」です。物語の焦点は「取り違え」ではなく「良多の成長」であることは明らかです。映画のタイトルに対して「父になったのは誰なのか?」を考えると良多以外該当しません。もし、雄大も「取り違え」を通じて父親としての在り方を考え直しているのであれば該当しますが、雄大の中の父親像というのは初めから最後まで揺らいでいないように見て取れます。

 

そのように考えると「取り違え」の当事者となった家族を描いた物語ではなく、「取り違え」をきっかけに父親としての在り方を考え直したひとりの男の物語と言えます。主題が「取り違え」ではなく、「父親の成長」であるため、見やすい映画になっているのだと僕は感じました。ラストシーンは感動的で、涙ぐみました。

 

だからこそ、シリアスな社会問題でもあった「取り違え」の扱われ方に気まずさを感じるのです。映画での「取り違え」に対して批判的な意見もあるようですが、実際に被害に遭われた方からすると怒れるのかもしれません。

 

 

海外で受け入れられたことについて

とはいえ、『そして父になる』は海外の視聴者からも大変好評で、スピルバーグ監督によるリメイクも決まった作品です。「父親とは?家族とは?」というテーマは文化を超えた普遍性があることは納得がいきます。

 

一方で、是枝裕和監督のインタビューを見てみると、「海外では養子縁組が日本よりも身近」という言葉があります。なるほど、と感じました。「海外セレブが里親になった」というニュースを聞くことも多いですが、日本ではあまりそうした活動が盛んでないイメージです。積極的な活動で知られるのは杉良太郎でしょうか。

 

そして父になる』では「親子は時間か?血か?」という問いが投げかけられました。僕も含めた日本人の多くは「どっちだろう?」と考えます。でも、養子縁組が身近な海外では「家族になるためには時間が大切」という考えがより納得がいくのでしょう。もちろん、そこには葛藤もあるはずです。「そんなの当たり前だ」と考えているのであれば『そして父になる』を見ても、海外の人たちは感動しなかったでしょう。

 

そのような家族に対する寛容さの差が「古い考えを持った男・良多」として表現されました。しかし、養子縁組の浸透していない日本ではそこまで「古い考え」でもないのでは?

 

血に拘る親たち

僕は結婚していないので、よく人から「結婚しないのか?子供欲しくないのか?」と聞かれます。適当に話をごまかしていると、よく聞かされるのが「自分の子供はかわいいよ」というのろけ話です。のろけ話を聞くのは嫌いじゃないのですが、「血のつながった子は可愛い」という意見には違和感を感じます。「甥っ子や姪っ子、友人の子もみんな可愛いじゃないですか。なんで自分の血に拘るんですか?里親じゃダメなんですか?」と尋ねた時、「血の繋がっている子は自分や嫁に似てくるからやっぱり違う」と言われたことがあります。

 

「自分に見た目や仕草が似ているから可愛い」という理屈は感覚的にはわかるのですが、子供を愛するために必須の条件というわけはないはずです。児童虐待はもちろん、似ているからこそ、憎々しく思っている親子は多くいるでしょう。

 

ある友人は「自分のクローンが欲しい」という理由から子供を欲しがっていました。僕は耳を疑いました。どうしてそこまで血を求めるのかが理解できませんでした。僕は結婚して子供を持つことがないのかもしれないので、血へのこだわりは理解が難しいのかもしれません。

 

そして父になる』の感想まとめ

そして父になる』は誰もが自分に置き換えて考えられる題材を扱いながらも、重苦しくなり過ぎないよう、見やすく調整された傑作映画です。ハリウッドで制作されるバージョンはどのような脚色が加えられるのか今から楽しみです。